まとま蔵
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まちを歩けば棒にあたる
南太平洋楽園幻想
●南太平洋楽園幻想4
生やしすぎ


2003.5.20

 フィジーに着いてしばらくした頃、知人の家でハクション大魔王みたいな顔をしたおばちゃんが「そう〜 日本から来たの〜 よろしくね〜」と、私の頬にブッチュ〜!とキスをした。そのおばちゃんの顔には、立派なナマズ髭が生えていた。我が目を疑った。でもやはりそれは「うぶげ」と呼べるような濃さではなく「髭」であった。以前何かのニュースで“アメリカで「髭を剃らないという理由で解雇されたのは不当だ」と会社を訴えているご婦人”というのを読んだことがあるけれど、「こういうことだったのか!」と初めて合点がいきました。“再三の通告にも係わらず髭を剃らなかった女性を解雇した会社”の気持ちもわからんではありません。やはりそれは注目せずにはおれない、どうしても目がいってしまうおかしな状態なのです。

姉弟?
隣の子どもと、全身毛だらけの彼女の弟。
 日本人の友達に話していると「口の周り一周してるの見たことある」という情報もあり、職場で「フィジアンレディwith マスタシュを探してる」と言うだけで笑われたけれど、ローカル情報では「もみ上げからね、こう、口の周りまで全部つながってたのよ、私の小学校の先生。でも2年前に亡くなったわ」う〜ん、惜しい! それにしても口髭おばちゃんの堂々たる風貌。すでに性の呪縛から解放されたという自由さえ感じます。
 それから私は「マスタシュレディを探せ!」という特集をフィジー協力隊の機関誌で募集しましたが、みんな笑うだけで投稿なし。街では時々見かけるけれど、いつもカメラを持っているわけではないので、残念ながら今のところまだ記録できていません。機会を得次第お見せします。
 顔と頭と限らず、フィジー人には毛が多い。複雑に絡み合った天然アフロの毛はボールペンをキープするのに適しているし、たとえ禿げていても1本の毛の「始めと終わり」が不明なので結構ふっくら見えるのです。男性の胸毛・腹毛は当たり前、首の後ろや背中もまあいい。でも時々手のひら足の裏以外全てを毛に覆われているような人を見ることがありますが、「・・・・ヒト?(失礼!)」と言いたくなるようなたくましさ。
 人類の起源と言われる東アフリカ、その褐色でアフロの人々。人間はサルから進化したはずですが、アフロヘアーの動物が他にいるでしょうか? 私は思い付きません。人類に限らず動物はその気候や環境に合う体へと進化していきました。アフロにも理由があるはずです。
 ある日フィジー人の友達が私の帽子をかぶろうとしたのですが、アフロなのでかぶれません。ちなみにアフロに布をかけるとクッションのような触り心地になります。よく晴れた日、彼女と一緒に外を歩いたのですが、彼女は帽子無しでも髪の毛がうまく顔に日陰を作っていました。
両民族が交じり合う職場
両民族が混ざる職場、
どっちか分からないときは髪の毛で見分ける。
  晴天に 日射しさえぎる アフロかな

 「・・・もしかして!」 こんもり茂ったアフロヘアーは強い日射しを遮るのに適しています。また、ペッタリ頭皮に付く直毛よりも風通しが良いので頭に熱がこもりにくく、熱帯地方に適した髪型と言えるのではないでしょうか? これはあくまでも私の感想です。本当の理由をご存じの方、お知らせください。
●南太平洋楽園幻想3
フィジー人のボケ、インド人のツッコミ。

2003.5.14
 あまり知られていませんが、フィジーの人口の半分近くはインド人です。旅行で来てもホテルに雇われている人はイメージの問題でフィジー人がほとんどなので、そんなに多いと思わないかも知れませんが、イギリスの植民地時代にサトウキビプランテーションの労働力として連れてこられたインド人が、そのまま居着いて現在に至っています。
 このフィジー人とインド人、性格は正反対で水と油。実際に婚姻関係を結ぶことは今でも少なく、まさに混ざり合うことの難しい二民族です。のんびりグータラフィジー人と働き者でせかせかしたインド人。この国の経済の実権を握っているのはインド人で、政治はフィジー人が中心になっています。
 憲法はフィジー人を優遇しており、それが「人種差別だ」と外国から批判されたこともありましたが、完全に平等にするとフィジー人の生活が転落することは目に見えているので、それによって発生する様々な問題を考えると、何と言われようが現状を維持して安定を目指す方が優先なのだと感じます。
フィジアンガール
クリクリ頭のフィジアンガール
 フィジー人たちが村でイモを食べてゴロゴロしていた頃、インド人は着々とお金を貯め、子どもに教育を与えこの国の経済を握っていきました。それも全て「フィジーインド化計画」の準備だったのです。インド人たちは真剣に「いつかインド本国が白人を追っ払って、フィジーはインドになるのだ!」と、考えていたようで、そのため我慢強く働いていたのですが、いつまで待ってもインド軍は来ません。しかし、いつしかインド人の人口はフィジー人を超え、初のインド人政権が誕生するまでになりました。インド人による政府が、不公平な憲法を改正しようと動き始めた2000年、フィジー人によるクーデターが勃発しました。首相を人質に国会に立て籠もったのです。クーデター自体は無血クーデターでしたが、街では暴動が起こり、インド人の経営する店などが焼き討ちに遭いました。現在は選挙によって選ばれたフィジー人政権のもと、再び安定を取り戻していますが、一連の事件に落胆したインド人の海外流出が激しくなり、現在ではフィジー人の人口がインド人を再び追い抜きました。
 「インド人はずるくて怖いし、全然助け合わない」と言うフィジー人と「あんたたち怠けてるからいつまでたってもダメなのよ」と言うインド人。そういう空気はありますが、個人レベルでは結構仲良くやっていて、お互いの言語も少しずつ理解しています。けれど、しょーもないイタズラやギャグが好きなのはフィジー人の方で、インド人は遠目で見ていて最後に落ちを付けたりします。
 そういうインド人ですが、本国のインド人と比べるとビックリするほど親切で常識的。フィジー人につられてかのんびりムード、美味しいカレーレストランを開き、映画でしかインドを知らないからヒロインのように派手なサリーを着ています。そして何より、ここではカーストがほとんど消滅しています。そういう意味ではインド人にとってパラダイスなのかも知れません。政治的な問題はまだまだありますが、お互いの文化を守りながら共存していける道を見付けることを願っています。
インディアンガール
サラサラのインディアンガール
南太平洋楽園幻想2
SAY BULA!


2003.5.12
 フィジーに旅行したことのある人なら間違いなく知っているであろう「ブラ」という言葉。「こんにちは」を意味します。「ありがとう」は「ビナカ」。それをくっ付けた「ブラビナカ」は「こんにちは」の丁寧な言い方で、初対面の人や目上の人に対して使います。
 フィジーでは知らない人同士でも目が合うと「ブラ」と挨拶するので、突然話しかけられて驚くことがあります。バスを待っていても「暑いわねぇ」とか「どのぐらい待ってるの?」などから雑談が始まりますが、ランニング中の人が「一緒にエクササイズしなーい!?」と言ってそのまま走り去って行ったこともあります。「全員友達」みたいな感覚があるのか、困っている人を見ると迷わず手助けする反面、他人の失敗が大好きなので、誰かが転んだりすると、知らない人たちが手を叩いて「オーイ!」とか「ヒャッホー!」と大喜びします。でも自分がこけた時、周りが笑ってくれた方が気分的に楽なので、私は笑って欲しいと思っています。
ブラー!
「ブラー!」素晴らしい日常(ヤサワ諸島)
 「モゼ」は「さようなら」。「おやすみ」も同じで「モゼモゼ」でベッドになります。職場はともかく、フィジー人は食事が終わるとすぐにその場でゴロンと横になります。ホームステイなどで食事が済むと、パンとバター(なんとチーズのように分厚く切ってはさむ)と砂糖たっぷりのミルクティーが出てきます。「ゲッ!これがデザート?」遠慮しているのではなく本当にもういらないのですが、とにかく勧められるので少しだけ食べると今度は枕を渡され「モーゼー!」と寝ることを強要されます。そうやってあの体型は作られていくのです。合わせていてはいけません、私は日本に帰る身ですから。
 知り合いが家や職場に通りかかると「お茶飲んでいけ」とか「飯食っていけ」と、「こんな状況で寄っていくわけないやん」という場面でも声を掛けますが、それは言うのがお約束らしく、たまに「本当に食べに来て困った」ということもあるそうです。人と分け合うこと、食べさせることはフィジー人の美徳。お金が無くてもみんなお腹いっぱい。そして誰もが貯金なし。
 親切を通り越しておせっかい、ウワサ好き、いい年して突然叫んだりしてうるさい。こんなにお互い干渉していたら、今の日本じゃうっとうしがられること間違いなし。でも「こういうもんだ」と思えば温かみがあって楽しい人間関係です。
モゼー
「モゼー」(ヤサワ諸島)
 旅行に来ても、知らない人から突然「ブラ!」と言われるかもしれませんが、怪訝な顔はせず満面の笑みで返しておきましょう。ただし、ナンディのメインストリートでやたらに愛想の良い人には気を付けて。
●南太平洋楽園幻想1
〜フィジーは本当に楽園か?


2003.2.10

 南太平洋のリゾート地として有名なフィジー共和国。「青い珊瑚礁」や「キャスタウェイ」など、たびたび映画のロケ地にも選ばれるこの国は、美しい珊瑚の海、様々なリゾートホテル、トロピカルフルーツ、陽気なフィジアンなど、リゾートに求める全てのものが揃っています。
 日本から訪れる人も多いので身近に感じる国かも知れませんが、観光で行く場所は限られているのでそれ以外のフィジーを知る人は意外と少ないように思います。青年海外協力隊としてフィジーに住んで1年。私たち日本人がイメージする“南太平洋の楽園”は果たしてホントに楽園か!?ローカルたちと過ごす日々を愛情と偏見に満ちた視点で検証したいと思います。
ヤサワ諸島
在フィジー日本人の憧れ、ヤサワ諸島
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