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まちを歩けば
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 聖地エルサレムの
    素顔に出会う
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まちを歩けば棒にあたる
聖地エルサレムの素顔に出会う-page02
●聖地エルサレムの素顔に出会う10
「炎天下の魚屋」


2002.7.30
 イスラエル軍のF16戦闘機が7月23日未明、パレスチナ自治区ガザ市の住宅街を空爆し、イスラム原理主義組織ハマスの軍事部門トップを暗殺、子供9人を含む民間人14人も巻き添えを食って犠牲となった。新聞的には「ガザではイスラエルに対する憎悪が渦巻いていた」との紋切り型の表現になるのであろうが、ガザ市の海岸には多くの市民が海水浴に繰り出し、日中の気温が35度を超える炎天下、道路沿いには魚屋が店開きをしていた。
 エルサレムでもそうなのだが、魚を刺身で食べる習慣がないため、魚屋の鮮度管理は極めて悪い。エルサレム市内のマハネエフダ市場にある行き付けの魚屋には、しばしば活きのいい魚が入る。アジやカツオ、カマス、イワシ、シロギス、イシモチなど日本でもおなじみの魚もある。思い切って目の透明な新鮮そうなカツオを丸ごと一本買い込み、タタキや刺身を作ることにした。包丁を研ぎ、丸々と太ったお腹に包丁を入れ、内臓を引き出した。
 ところがである。どうも臭うのだ。買ったときには、氷が掛けられ新鮮そうに見えたのだが、それ以前の鮮度管理が悪かったようである。刺身を断念、仕方なく唐揚げにして食った。運が良ければ、新鮮なアジやサバが手に入り、エルサレムでもアジのタタキやしめ鯖が食べられるそうである。
 ガザの魚屋には、ボラにコイ、フエフキダイのような魚が並べられていた。パレスチナ人通訳に買っていくかと声を掛けると、「いらない」との返事。地元の人ですら二の足を踏む鮮度管理なのであった。魚屋のおじさんの表情も芳しくなかった。いったい、あの魚たちはどうなってしまったのであろうか。
 後日、パレスチナ人通訳から電話が掛かってきた。昼に旨い魚を食ったという。朝6時に起き、漁港にわざわざ買出しに行ったという。やはり、旨いものを食うためには、それなりの努力が欠かせないというのは万国共通のようである。
ガザの魚屋さん
ガザの魚屋さん。客足はさっぱり?
●聖地エルサレムの素顔に出会う9
「戦地の甘い果物」

2002.7.23
 エルサレム市内にあるマハネエフダ市場の彩りも豊かになってきた。盛夏を迎え、色とりどりの果物が店頭を賑わしている。モモにブドウ、スイカ、メロンに加えて、熱帯性の果物であるライチやマンゴーも登場。大きなマンゴーは7シェケル(約175円)。物価高のイスラエルにあって、果物や野菜は価格の優等生的な存在だ。
 価格破壊の進む日本からイスラエルに来て驚いたのが物価の高さである。ちょっとしたレストランに行くと、5000円ぐらいは簡単に飛んでいく。雑貨や歯磨き粉などの消耗品も結構高い。600万人をちょっと超える程度の人口であるためか、国内で作られていないものも多く、輸入品が意外に幅を利かせている。政府予算の20%以上が国防費というお国柄で、付加価値税も最近値上がりして18%になった。
 砂漠育ちの甘くてみずみずしいスイカは、1玉で300円程度。死海の近くにあるパレスチナ自治区の町エリコの果物は、特にその甘さで有名だ。標高マイナス300メートルほどのところにあるエリコの気温は、夏の日中には40度以上に達する。その上、雨は一滴も降らない。ところが、荒涼とした砂漠の中で緑がまぶしいオアシスの町エリコでは、湧き出した清水が滔々と灌漑水路を流れている。世界最古と言われる灌漑水路では、小魚が気持ち良さそうに身を翻す。
 ただ、パレスチナ紛争が激化してイスラエル軍が町を包囲、戦車が検問所に陣取り、なかなか町に入りにくい。灼熱の中で額に汗を浮かべる検問所の兵士に「スイカを買いに行くので入れてくれ」とは言えないものである。ワールドカップが盛り上がっていた6月には、「日本人か。今日は日本戦だよ。エリコなどに来ないでテレビでも見たらどうなのか」と、若い兵士は呆れ顔でつぶやいた。
山積みわれたマンゴー
エルサレムの市場の果物屋に山積みされたマンゴー
●聖地エルサレムの素顔に出会う8
「戦争屋」

2002.7.21
 週末にはアスパラ採りにイチゴ狩り。先日、欧州某国に赴任する特派員から慰めの電話が掛かってきた。夜に日を継ぐような生活が続くエルサレムの様子が気になったようである。戦争は時と場所を選ばず、戦地の記者は寝る暇がない。それに比べて欧州特派員のなんと羨ましいことか。成熟し切った国家では、ニュースになるような事件も少なく、週末には家族で余暇を楽しむのだという。
 世の中には「戦争屋」と呼ばれる人種がいる。戦争が起きると、どこからともなく現れ、人々の悲劇を好き勝手に切り取っていく。このような人種は、欧州先進国の某特派員に言わせれば、ジャーナリストではないのだそうだ。
 確かに戦争は金になる。武器商人が暗躍し、記者はスクープを狙って目をぎらつかせる。紛争が過熱した数カ月前まで、エルサレムにも世界各地の猛者が押し寄せ、ホテルやパレスチナ人通訳の値段が高騰した。知り合いのパレスチナ人通訳は、記者1人に付き150ドルから200ドルを徴収して車列を組み、激戦地に案内して1日当たり数千ドルを荒稼ぎしていた。ヨルダン川西岸のパレスチナ自治区ベツレヘムにあるキリスト教の聖地「聖誕教会」をイスラエル軍が包囲していた5月、教会を望む民家の住民は、屋根にカメラを設置するのに1社当たり1日150ドル取っていたそうだ。戦争は、いろいろな面で人々の心を荒ませる。
 そんな筆者も、戦争屋の1人なのであろうか。イスラエル軍による「虐殺」があったと伝えられた西岸の自治区ジェニンに4月16日、乗り込んだ。周辺は「軍事封鎖区域」に指定され、ジープや戦車で兵士が警戒する中、ジェニンに向かった。「パン、パン、パン」。乾いた威嚇射撃の音におののき、オリーブの木陰に身を潜めた。野生の花々が咲き乱れる丘陵の続く風景がやけに美しく感じられる。現実が厳しいだけに、ちょっとした風景や人々の言葉が心に染み入る。タ クシーで約30分。ジェニンに入った。
防弾装甲ベンツ
イスラエル軍がヨルダン川西岸ラマラ郊外にある
パレスチナ治安警察本部に撃ち込んだロケット弾
(5月3日撮影)

ヨルダン川西岸の夕日
ヨルダン川西岸のラマラにある
パレスチナ自治政府議長府の敷地内で、
パラボラアンテナを設置する報道関係者
(5月2日撮影)

 家屋は倒壊し、時折、軍が民家を爆破する音も響く。過激派のものとみられる遺体が死臭を放ち、住民は所在なげに身を寄せ合っていた。突然、外国人記者の1人が卒倒して顔面蒼白となり、痙攣しているのが目に入った。人工呼吸で手当てをしなければ、確実にあの世送りとなっていたであろう。アフガニスタンの戦地で見た凄惨な光景がフラッシュバックしてきたそうだ。
 彼は、商売敵とも言えるイスラエル軍兵士に水と薬をもらい、軍のジープで病院に運ばれていった。「緊張と脱水症状のせいだろう」。防弾チョッキにヘルメットを被り、自動小銃を抱えた完全武装の若い兵士がつぶやいた。戦場の兵士と話を交わすような機会は滅多にないだけに、今でも忘れられない情景だ。

●聖地エルサレムの素顔に出会う7
「わが町自慢のフムス」

2002.7.21
 中東というと羊を始めとしたシシカバブのような肉料理がまず思い浮かぶが、太陽の豊かなイスラエルには、ビタミンたっぷりの野菜や果物が市場に溢れている。その中でも特に健康的で美味しいのがフムスやホモスと呼ばれる豆料理だ。日本では、どの町にも身近な豆腐屋さんがあるように、イスラエルやパレスチナにも、地元の人が「ここのフムスが一番」と自慢するフムス専門店が町に1つはある。
 作り方はいたって簡単。ひよこ豆やカルバンゾと呼ばれる豆を数時間煮込んで柔らかくし、オリーブオイルやレモン汁のほか、細かく刻んだニンニクやクミン、ミントなどを混ぜてペースト状にする。それに好みで唐辛子やオリーブオイルをたっぷりかけ、パンをスプーン代わりにして食べる。付け合せには、ザックリ切った生の玉ねぎやトマト、きゅうりのピクルス。ニンニクやレモン汁、香草の量や種類がそれぞれの店で微妙に違い、味はさまざま。まだ、自分に合った味の店を見つけていないが、コクのあるまったりとした味わいは、1日と置かずに食べたくなる味覚だ。
エルサレム旧市街にも、「アブシュクリ」という有名店がある。現在の店になって約50年。子供たちが自宅から持ってきた皿にフムスを盛り付けてもらい、持ち帰る昔ながらの光景が見られる。エルサレム市内にもマクドナルドなどのファストフード店があるが、フムスのほうが美味しいため、伝統食のフムスはまだまだ健在だ。
アブシュクリのフムス
アブシュクリのフムス
マハネエフダ市場の野菜屋さん
エルサレムにあるマハネエフダ市場の野菜屋さん
●聖地エルサレムの素顔に出会う6
「ターキッシュコーヒー」

2002.7.14
 エルサレム旧市街では大の男たちが日がな一日、コーヒーやチャイを飲みながらトランプに興じている。豊かな時間が流れているようにも見えるが、仕事がないのだ。紛争が激化して以降、観光客は激減。お土産屋の売り上げは低迷が続き、機を見るに敏なパレスチナ人商人たちの多くが生活雑貨商に鞍替えしていったという。
 パレスチナ人が飲むコーヒーはターキッシュコーヒーと呼ばれるものだ。名前の通りトルコから伝来してきた。かつて広大な領土を支配したオスマントルコ帝国の足跡を示すように、ターキッシュコーヒーは中近東の広い範囲で飲まれている。
  極めて原始的な入れ方でどろっとした苦味のある味が中東の気候と非常にマッチしており、病み付きにある人も少なくない。イブリックと呼ばれる銅製の口のすぼまったコーヒー抽出器具を使う。深入り豆を好みに応じて香料のカルダモンとともにきめ細かく挽く。それをイブリックに水とともに入れ、火にかけ沸騰させる。イブリックからそのままお猪口のようなコーヒーカップやガラスコップに注ぎ、粉が沈殿するまで1、2分待って飲む。
 コーヒーも世界各地で随分と作り方や味が違うものだ。熱暑のサイゴンで飲んだベトナムコーヒーは、フレンチローストの強烈な苦味が忘れられない。器具を持ち帰り、日本で同じように飲んでみたものの、どうも美味しくない。日本の気候には味が強すぎる。
 本来、1日に10杯以上も緑茶を飲んでいたお茶党なのだが、こちらに来てからというもの、コーヒーがうまい。
防弾装甲ベンツ
骨董物のイブリック。右は蓋付き。
沸騰させてもコーヒーがふきこぼれない優れもの。
ヨルダン川西岸の夕日
エルサレム近郊にあるアブゴッシュ村のレストラン。
本格的に炭火でコーヒーを沸かしている。

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